使用貸借(無償での貸借)における借主に対する明渡請求
はじめに
「親戚に家を無償で貸したが出ていかない・・・」
「友達に家を無料で貸してあげたけど、そろそろ追い出したい・・・」
親子間、親族間や友人間の貸し借りで多いのが、使用貸借(無償での貸借)によるトラブルです。
使用貸借とは、わかりやすくいえば、物をただで貸し借りする契約のことです。家賃/賃料が発生しないという点が賃貸借との違いです。親子間で家賃を支払わずに住んでいるという状況が典型例です。
親族や友人といった関係性があるので言いづらく、解決が先延ばしになりがちなのが、使用貸借トラブルの特徴です。
問題解決を放置すると、、、
使用貸借の問題が発生した後、解決を長期間放置していると「トラブル後も長期間の無償使用を黙認していた」と言われるなど、貸主にどんどん不利になっていきます。
親族間や友人間といった特殊な関係があるからといって、問題を放置せず、逆に早期に対応することが非常に重要です。
契約書なしの場合でも解決可能
使用貸借は親子間などで行われるため、契約書が無い場合がほとんどです。
しかし、使用貸借契約書が無い場合であっても解決できる場合は多々あります。
また、契約書があり、契約書の記載にしたがえば立ち退きを求めることができなさそうな場合でも、事情によっては、契約書の内容にかかわらず使用貸借が終了する場合があります。
使用貸借において立ち退きを求めることができる場合
明渡を求めるには使用貸借契約が終了していることが必要
借主に対して明け渡しを求めるには、使用貸借契約の終了事由があるか、又は、使用貸借契約を解除により終了させる必要があります。
使用貸借が終了する場合
・使用貸借期間の経過(民法597条1項)
契約書等で定めた契約期間を経過した場合には終了します。
・使用及び収益の目的に従い使用及び収益を終えたとき(民法597条2項)
契約期間の定めが無くても、使用収益を終えた場合には終了します。
・借主が死亡したとき(民法597条3項)
借主が死亡した場合には使用貸借は終了しますので、相続人は、借りたものを返還しなければなりません(相続の対象になりません) 。貸主が死亡しても使用貸借は終了しません。
・使用貸借契約において終了事由が定められている場合
契約書等に定められた終了事由があれば使用貸借は終了します。
使用貸借契約の解除
・合意解除
貸主と借主との合意により終了させることができます。
・債務不履行解除
借主に契約違反行為等 があれば、契約を解除することができます(民法541条・同542条)。
・契約に定めた使用及び収益に足る期間を経過したとき(民法598条1項)
使用収益が終わっていなくても、必要な期間が経過したときは契約を解除できます。
・期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったとき(民法598条2項)
期間並びに使用及び収益の目的を定めなかった場合には、「いつでも返還しても構わない」という共通認識がある場合が多いので、いつでも解除できるものとされています。
・使用貸借の当事者の信頼関係が損なわれた場合
使用貸借契約は、親族関係や友人関係などの特別な関係に基づく信頼関係が基礎となっています。したがって、信頼関係が破壊されている場合には、契約を解除できます。
具体的な解決に至る流れ
弁護士に明渡請求を依頼する場合の流れ
弁護士に明渡請求を依頼する場合、弁護士が代理人となって借主に対して明渡を求めていきます。
受任から解決まで、弁護士が貸主の代理人として借主と交渉・対応します。また、訴訟も弁護士が貸主の代理人となります。家主様や管理会社様が、借主と明渡について直接やりとりする必要はありません。
一連の流れは以下のとおりです。
STEP1 ご依頼者とのご面談
ご面談で、資料を確認しながらお話を伺い、明渡請求の方針を決定します。
ご相談だけでも大歓迎です。弁護士事務所に出向いたからといって、必ず弁護士に依頼しなければならない、というものではありません。
STEP2 費用説明~ご依頼
手続に必要な費用の説明をします。費用についてご了承頂ければ、委任契約書の締結・着手金のお支払後に手続に着手します。
STEP3 借主に対して明渡しを求める内容証明郵便送付
借主に対して、期限日を設定して(又は直ちに明渡すことを求める内容で)書面にて明渡しを求める文書を送付します。このとき、期限日までに明渡しが無い場合には明渡請求訴訟を提起することも伝えます。
STEP4 訴訟提起
期限を過ぎても明渡が無い場合、また、明渡に関する交渉を行っても合意に至らない場合には、明渡請求訴訟を提起します。
STEP5 訴訟遂行~退去交渉
訴訟提起後も、訴訟手続の中で明渡し合意に向けて交渉します。交渉がまとまらなければ判決を求めます。
STEP6 判決~退去交渉
借主に対する明渡判決が出された場合には、再度借主との間で明渡し交渉を行います。
STEP7 強制執行手続による退去・合意による解決
交渉がまとまらない場合、また、①~⑤の過程で退去合意に至ったものの借主が退去しなかった場合には、強制執行手続をとります。
なお、強制執行まで求めなくても、例えば、一定期間明渡しを猶予する代わりに賃料相当損害金を支払う旨の合意、または、賃貸借契約に切り替える、という解決方法もあり得ます。どのような解決方法をとるかは、ご依頼者のご意向次第です。
ご自身で交渉を試みる場合
ご自身で交渉を試みる場合には、これまで述べた契約終了事由を意識して交渉することをお勧めします。
ご自身で交渉される場合でも、相手方に対して送付する書面は弁護士に依頼し作成することが必要です。この段階で借主に出した書面の内容が、その後の訴訟において不利に扱われる可能性があるからです。
また、訴訟等の法的手続をご自身で行うことは一切お勧めしません。ご自身で訴訟を行うことで圧倒的に不利な状況に置かれた例をいくつも見聞きしていますので、訴訟については弁護士に依頼することをお勧めします。
赤坂門法律事務所での使用貸借案件の解決事例
赤坂門法律事務所では、多数の使用貸借案件の経験を有しています。
以下はその一例です。
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法的根拠をもとに明け渡しを求めることができますので、交渉をスムーズに進めることができます。
赤坂門法律事務所では、2011年から現在に至るまで、合計で4734件(2022年12月末日現在)の建物明渡請求訴訟を受任し、解決に導いてきました。
同種事案を多数受任してきた経験に基づき解決します。
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