【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】外国人入居者(日本から出国済)に対する建物明渡請求を行った事例
<解決事例>外国人入居者(日本から出国済)に対する建物明渡請求を行った事例
1.事案の概要
物件所在地:地方政令指定都市の住宅街の一角
借主:外国人
滞納期間:6か月以上
2.解決までの経過
借主は外国人の方の案件です。
滞納が始まり、滞納が3か月以上と多額になり、その後借主と連絡がとれなくなったという事案でした。
このまま放置するわけにもいかないので、明け渡し訴訟を依頼したいということで家主様よりご依頼があり、受任しました。
まず、本件物件に訪問し、借主が住んでいるか確認しましたが、郵便物が溜まっているほか、電気ガス水道のライフラインが全て止まっており、長期間出入りが無い状況でした。郵便も宛所尋ね無しで返送されており、借主が物件に既に居住していないことは明らかでした。
その後、弁護士にて借主の住民票を調査したところ、日本から出国済であることが判明しましたので、速やかに訴訟提起しました。
本件の場合、出国先の住所が判明しなかったことから、裁判書類の送達は公示送達(外国における公示送達)にて完了させました。
判決取得後、強制執行手続により明け渡しを完了させました。
3.弁護士コメント
家賃を滞納したまま日本から退去した外国人に対する明け渡し請求も、当事務所(赤坂門法律事務所)では多く取り扱っています。
本件は、出国後の住所が判明しなかった場合です。住所が判明しない場合には、外国においてすべき送達についてした公示送達(民事訴訟法第110条第1項第3号)という手続になります。
また、出国後の住所がある程度判明する場合があります。この場合、いわゆる外国送達の手続による場合も少なくありません。
しかしながら、出国後の住所に借主が居住してない場合や、そもそも出国後の住所自体が不正確な場合も多く、折角外国送達の手続をしても、不奏功に終わる場合も多いです。
そこで、外国送達を試みる前に、EMSなどで判明している出国後の住所宛に郵便を送付することは一般です。ここで届けば外国送達の手続に移ることになります。届かなければ公示送達手続によることになります。
日本から退去した外国人に対する明渡請求については、建物明け渡し請求を多く手掛ける弁護士でもあまり経験しないパターンかもしれません。
手続は意外に面倒で、また、正確に手続を理解していないと手続自体が遅滞することになりかねません。外国人の出国が絡む建物明け渡し請求については、経験は豊富な弁護士に依頼したほうが早期解決につながります。
※守秘義務の関係上、事案内容は適宜変更しています。