【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】別居中の夫婦に対する明渡請求
1.事案の概要
物件:首都圏郊外の一軒家
借主:妻子持ちの男性
滞納期間:3か月以上
特記事項:離婚調停中。夫婦が別居し、物件には妻子が居住。
2.解決までの経過
3か月滞納後、夫に対して内容証明郵便を送付したところ、夫から連絡が入りました。
夫からは、「物件には妻と子供が住んでいる。家賃が支払えなくなったので退去してほしいが、妻が出て行ってくれない」と申出がありましたので、妻に連絡を試みましたが、連絡がとれません。そこで、やむなく夫と妻両名を被告として訴訟を提起しました。
第1回の裁判期日には誰も出廷しなかったことから、1週間後に夫と妻に明け渡しを命じる判決が下されました。
その後もなお妻と連絡がとれませんでしたので、強制執行の申立をしました。
強制執行の催告時に、妻から連絡が入り、「なぜ建物を明け渡さなければならないのか」などとクレームが入りました。私から強制執行の手続きの流れを説明し、納得して頂きました。その後、断行期日までに引っ越しをしていただき、解決に至りました。
3.弁護士からのコメント
本件は夫婦が別居しており、夫が家賃を支払っているものの、物件を妻が主体となって占有している状態でした。
その後、夫の経済状態が悪化し、家賃滞納が生じたことから、契約解除に至ったものです。
妻が主体となって物件を占有している場合には、妻を訴訟の被告にする必要があります。
物件の占有者は妻であり、夫に対する債務名義(判決)だけでは妻にその効力を及ぼすことはできないためです。
本件は妻と連絡がとれなかったことから強制執行申立に至りましたが、多くの場合には交渉で退去してもらうことが多いと思われます。
※守秘義務の関係上、事案の詳細について変更している部分があります。