【建物賃貸借契約条項解説】1 賃貸借の目的物
1.はじめに
住宅建物賃貸借契約書の冒頭に記載される「賃貸借の目的物」の記載は、賃貸借契約の目的物を画するものです。
したがって、明確に記載されるべきであり、また、漏れがあってもいけません。
この点をおろそかにしたがために、賃貸借の目的物について紛争が生じる場合もあります。
2.原則として、目的物として記載されたものが明渡の対象となる
目的物の対象に含まれていないことにより、賃貸借契約終了の場面で問題になることがあります。つまり、賃貸借の対象とならず、明渡の対象ではないのではないか、という点です(実際に、訴訟になった場合に、裁判所からその旨指摘されたことがあります)。
目的物で漏れが生じやすいのが、駐車場と駐輪場ではないかと思います。
この点、賃貸借の目的物かどうかは、契約の趣旨や実際の使用状況等にかんがみて決定されますので、目的物に記載されていないからといって、直ちに対象外ということにはなりません。しかし、賃借人からその旨主張されるリスクや、その点を明渡交渉の武器として利用されるリスクは否定できません。
3.目的物の記載もおろそかにしない
細かい点ですので、なかなか目の行き届かないところもあるとは思いますが、契約書作成にあたっては、目的物の記載に漏れがないかもきちんと確認すべきと思います。
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目次:建物賃貸借契約条項解説
- 賃貸借の目的物(本ページ)
- 契約期間・更新条項
- 使用目的
- 更新料
- 賃料等の支払時期・支払方法
- 賃料改定・賃料増減請求
- 敷金一般
- 敷金返還債務の承継
- 館内規則・利用規約等
- 遅延損害金
- 賃貸人の修繕義務
- 契約の解除・信頼関係破壊の法理
- 保証金
- 賃借人たる地位の移転
- 原状変更の原則禁止
- 善管注意義務及び損害賠償
- 連帯保証人
- 反社会的勢力の排除
- 当事者双方からの期間内解約条項