【建物明け渡し(立ち退き)解決事例】借主本人が父親に又貸し(転貸)していた物件について、交渉による任意明渡により速く問題解決した事例

【物  件】居住用マンション
【借  主】個人
【滞納月数】5か月
【特  徴】契約者が既に物件から転居しており、その父親が居住していたことが判明
【解決内容】任意退去(強制執行に至るまでに問題解決)
【解決までの期間】受任から3か月

1.事案の概要

 物件は、政令指定都市中心部に所在する賃貸マンションです。約5年前に賃貸借契約が締結され、その後滞りなく家賃が支払われていました。しかし、1年前から家賃が滞りがちになりました。家賃の取り立てをしようと、家主が物件を訪問したところ、借主本人ではなく、父親が出てきました。
 父親によると、既に借主本人は退去済みであり、父親のみが住んでいるとのことでした。しかし、父親は失業等により生活が苦しい様子で支払は期待できませんでした。契約者本人に督促しても「父親に請求してほしい」との一点張りでした。次第に家賃の滞納金額が多額となってきました。
 そこで、この問題をなんとかしたい、父親を退去させたいということで、当事務所(赤坂門法律事務所)に依頼がありました。

2.経緯

(1) 所在調査

 住民票調査の結果、借主本人は3年前に遠方に転居済みであること、物件には父親が住んでいることが明らかになりました。

(2) 訴訟提起

 まず、内容証明郵便を送付するとともに、同時並行で、契約者と父親の2名を被告として、建物の明渡訴訟を提起しました。
 すぐに、契約者本人から連絡があり、「ご迷惑をかけて申し訳ない。父親は近いうちに退去させるので訴訟を取り下げてほしい。滞納した家賃は分割して支払う」との回答がありました。
 そこで、直ちに居住者の父親と連絡をとり、退去の日時を決定しました。
 そして、あらかじめ打ち合わせた退去当日に明け渡しを受けることができました。
 訴訟の結審前に任意退去にて解決しました。また、家賃未払分については、父親に代わって契約者本人より全額一括で回収することができました。

3.弁護士コメント

 本件は、内容証明郵便の送付と同時並行で訴訟提起したことにより、早期に明渡が実現するとともに、家賃滞納問題も同時に解決に至った事例です。本件の家賃滞納は、契約者本人が既に退去していることから、契約者本人に当事者意識が無かったことが一因です。このような事例においては、契約者本人に問題解決の責任があることを自覚させることが重要です。建物明渡に精通した弁護士に依頼することにより、早期解決を図ることができた事例です。

※守秘義務の関係上、事案の詳細について変更している部分があります。

記事カテゴリ: 解決事例
投稿日時: (約3年1ヶ月前)

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よくあるご質問

見積もりを取ることは可能でしょうか?

ご相談いただければ可能です。

ご相談内容を踏まえてお見積りさせていただきます。
見積もりは無料となっております。事案によって請求額は異なりますので、まずはご相談ください。

退去してもらうまで、どの程度の時間がかかるものでしょうか?

当事務所での解決までの平均期間は、4か月程度です。但し、弁護士が受任したことで、1カ月程度の早期解決に至ることもあります。

家賃滞納による明渡請求は、家賃滞納自体に争いが無い場合には、強制執行手続による退去完了まで、以下の経過をたどります。

  1. 内容証明郵便による契約解除通知送付(受任から3日~1週間程度)
  2. 訴訟提起(内容証明郵便送付日の翌日~2週間程度)
  3. 第1回期日(訴訟提起日から1ケ月~1ケ月半程度)
  4. 判決期日(第1回期日から1週間~2週間程度)
  5. 強制執行申立(判決期日から2週間~1ケ月程度)
  6. 断行手続(強制執行申立から1ケ月~1ケ月半程度)
  7. 退去完了

強制執行手続のうち、断行手続(裁判所の手続により、荷物を搬出・鍵の交換等を行う等の方法で強制的に明け渡しを実現する手続)によって退去が完了する場合、受任から終了まで概ね4ケ月~5ケ月程度の期間が必要となります。

但し、賃借人が行方不明の場合などを除き、強制執行の断行手続に至るケースは多くありません。訴訟提起後、強制執行手続に至るまでに退去するケースの方が圧倒的に多いというのが実情です。
弁護士が家主様の代理人に就任したことにより、1カ月程度で退去に至るケースもあります。
これらの早期解決案件を含めた弊事務所での平均解決期間は、受任から概ね4ケ月程度です。

【2022年10月11日更新】

司法書士に頼むのとどう違うのですか?

建物明渡請求訴訟について、司法書士は原則として代理人になれません。

弁護士と司法書士の違いは、端的にはその権限に違いがあります。

弁護士は、すべての訴訟事件について代理人として活動することができます。
他方で、司法書士は、訴訟事件について原則として代理人となる権限がありません。
認定を受ければ訴額140万円以下の事件について代理人として活動することはできます。しかし、その場合でも、簡易裁判所の事件での代理権しかなく、地方裁判所での代理権限はありません。
不動産明渡請求訴訟は地方裁判所が管轄です。司法書士は地方裁判所における代理権がありませんし、強制執行手続きについては、司法書士は代理人にはなれません。
不動産明渡請求については、司法書士が大家様や管理会社様に代わって借主と交渉することもできません。

借り主がどこに行ったか不明で連絡も取れないのですが、それでもお願い出来ますか?

可能です。法的手続きを進めるうえで大きな問題はありません。

借り主が所在不明で連絡も取れないということは、もはや話し合いでは解決できません。法的手続きを執るしか無い場合がほとんどだと思われます。
そのような場合に適した法的手続きを進めることで、ほとんどの場合、強制的に退去させることが出来ます。
但し、連絡も取れない場合には、家賃の回収については困難な場合がほとんどです。

手続き中、借主が直接自分の所に来て話したいと言ってきた場合にはどうしたらよい?

毅然と拒否し、弁護士と話すよう伝えて下さい。

弁護士が受任した場合は、全て弁護士を通していただく必要があります。大家さんご本人が直接話すとどうしても甘いことを言ってしまったりして、それを逆手に取られ、状況がこじれることがあるからです。
我々が借主様からお話を伺った場合には、通常依頼人たる大家様にご報告申し上げ、それで対応を協議するという形になります。
ご依頼頂いている以上、「弁護士を通してほしい」と言って頂いて構いませんので、まず直接の話し合いは避け、弁護士と話すように伝えてください。

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